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TITLE012 <旅6日目>高山病の悪化。

トレッキング4日目(その3)。
★現在地/ネパール タンボチェ(3867m)


1時間ほど眠っただろうか。
起きようとカラダを起こす。


ズッキーーーーン。


痛っ(汗)
頭の内側から鋭利なもので叩かれたような
痛みが走る。


ズッキーーーーン。


これまでも頭はすこし痛かった。
だが、今の痛みはそれまでの比にはならないほどの痛みだ。


ズッキーーーーン。


動くたびに激痛が走る。
頭をなるべく動かさないように、そぉっと起き上がる。
意識もいくぶんボーっとしている。


ズッキーーーーン。


目に見えている現実の世界と、
頭の中の意識の世界との間に薄いオブラート状のものがはさまれたみたいに、
見えている世界にリアリティがない。

寝ているあいだに酸欠状態になったのだろうか。
寝てはいけないのだ。
一気に上げた高度と、昼寝がたたり、
高山病であろう症状が一気に開花したようだ。。。
マズい。なんとか症状を軽減させなければ。
鋭く痛む頭をかかえ、散歩に行くことにする。
体を慣らさなければ。
まだ寝ているヨメを起し、部屋をでる。←ヨメはなんともない。

首から上をなるべく動かさずに歩く。
まるで、頭の上に何かをのっけて落とさないように歩くゲームみたいだ。(笑)
端から見たらさぞかし変な感じだろう。
だが、そんなことはどうでもいい。
とにかく痛い。

外へ出るとガイドのテジーが他のネパール人ガイド達と談笑している。
彼に具合が悪いことがバレれば大変だ。
大騒ぎになって、
訳のわからないネパールの薬など飲まされるのはイヤだ(笑)

外はいくぶんガスがかかってきた。
それでもまだかろうじてエベレストは見えている。
ロッジのテラスには今しがた到着したであろうトレッカーが大勢いる。
なかには日本人グループもいる。
ひとりの日本人の60歳くらい(?)のオバさんと話しをした。
彼女はここタンボチェまで僕らの倍の日数をかけて歩いてきたそうだ。
ナムチェから半日で歩いてきたことを伝えるとビックリしていた。

ここタンボチェには厳冬期のヒマラヤ登山で命を落とした登山家、加藤保男さんの記念碑がある。
そのことを彼女に話すと、一緒に見に行きましょうかということになった。
頭が死ぬほど痛いのをひた隠し、
ガイドのテジー、僕、ヨメ、オバちゃんの4人で記念碑を目指して散歩することに。

ロッジから10分ほど歩いた丘の上に記念碑があった。
丁度エベレストを正面に眺めることのできる場所だ。
加藤保男さんの記念碑の横には、
橋本龍太郎元首相の記念碑もあった。
彼はヒマラヤで亡くなったわけではないが、
かつて日本山岳会の会長を勤め、エベレストにも登っているようだ。
橋本龍太郎の登山隊のゴミを野口健が日本に持ち帰ったというエピソードは有名だ。
一応、二人の記念碑にお参りをしておく。

オバちゃんとはそこで別れた。
一眼レフのカメラをもった好奇心旺盛なオバちゃんは、
その辺を撮影しながら帰ります。
と言いながら、うれしそうに歩いて行った。
僕らはロッジへ戻ることに。

夕方4時からはタンボチェ僧院でお経があげられ、
トレッカー達もお堂に入ってそのお勤めを見学することができるという。
これは願ってもないこと!
頭が痛いながらもテンションがあがる。

4時まではまだ時間があるので、タンボチェ周辺をヨメと二人で歩く。
いくつかのロッジの前に面白いものがあった。
ソーラークッカーだ。


TITLE012  <旅6日目>高山病の悪化。_c0228867_2201511.jpg





























↑ 小型のモノがあったら欲しい。もっとも僕のいる北陸じゃ使い物にならないだろうけど。。。


パラボラアンテナ状の反射板に集まった光(熱)を棒の先のナベに収束させ、
湯を沸かす仕組みなのだろう。
実用品なのだろうか?それとも飾りか?
湯の沸くところを見てみたかったが、あいにくの曇り。
さすがの標高4000mでも日差しは弱い。

頭が痛いので、ロッジのテラスに戻ることに。
すると、先ほどのオバちゃんが戻っていない。
結構時間がたっているので、心配になる。
記念碑のあった場所はそれほど険しいところではないが、崖がある。
もしかして落ちてやしないかと不安になる。
誘ってしまった以上、少し責任を感じる。
痛い頭を抱えながら再び記念碑のある丘へ行く。
崖の下や薮の中をのぞきながら歩くがオバちゃんの姿はない。
あたりを見渡しながらジグザグと歩き、ロッジに戻るがやはり戻っていない。
まだ、日没まで時間があるがガスがでてきて視界がなくなりつつある。
まいったなぁと思っていると、
記念碑とは反対の方角からヒョコヒョコと歩いてくるオバちゃんが見えた。
やれやれ。よかった。
好奇心が旺盛なのは結構だけど、こう一人でフラフラ歩いていかれると、
見ているほうが不安になってしまう。

ようやく4時になる。
ロッジ向かいにある立派な門をくぐり、お堂へと向かう階段を登る。
寒いけれど帽子は脱いで中へと進む。
まだお堂は開いていない。
お堂前の広場で扉があくのを待つ。
広場のすみの小屋の中で若い僧侶が何か、粘度のようなものをこねている。
ソバの生地だそうだ。ソバの生地で鬼みたいな人形の頭をつくっている。
目が合うと微笑んでくれる。

しかし、気温が下がったこともあってか、
僕の具合は悪化する一方だ、
立っていることもままならないほど、
しんどくなってききた。目がまわる。
目で見ている映像を頭で認識できるまでにタイムラグがある。
目で何かを追いかけると、映像があとから追いかけてくるように遅れる。
目をつむると上下左右の感覚が分からなくなるほど回っている。
これはマズい。しんどいが目だけは開けていよう。
行儀悪いと思いながらも地べたに座り込んでしまう。

何人かの赤い袈裟を着た若い僧侶たちがお堂に入って行く。
どうやらお勤めがはじまるようだ。
僕たちもお堂の中へ入る。
先に入った欧米人トレッカーたちはみんな体育座りやあぐらで座っている。
ここは東洋人として、凛とした姿を見せてやろうと、
背筋をのばして正座で座る。
あとから入ってきた欧米人トレッカー達が正座する僕らを見て、
マネをして正座している。
こうなるとどんなに足がしびれても
僕らは足を崩すことができなくなってしまった(笑)

お堂の中は薄暗く、お香の匂いが立ちこめている。
内装には極彩色の仏画や模様が描かれており、日本のお寺とは雰囲気が異なる。
お堂の奥の真ん中には金色の大きな仏像がある。
その表情も日本の仏像とは少し違う。
仏像の前に向かいあうように2列で10人ほどの僧侶が座っている。
若い少年のような僧侶もいる。
お経がはじまる。

地元に住むシェルパ族であろう人たちが
お経に合わせながら五体投地※をしている。
僧侶たちが大きなアルプホルンのような笛や太鼓を手にし、独特の音を奏でる。
お堂内に立ちこめるお香の煙が、窓から差し込む明かりで神々しく揺らめく。
見たこと無い光景と独特の音や匂いに圧倒され、
もうろうとする意識も手伝い、
現実なのか、異世界なのかわからなくなってくる。
涙が出そうになる。
※五体投地とは全身を地面に投げ伏してお祈りするチベット仏教のお祈りスタイル。

しばらくその圧倒的な光景に見とれているが、
いよいよ座っていることもひどくなってきた。
目の前が白んでくるような気がする。
限界を感じて、ヨメと一緒にお堂を出る。
柱や壁に手をつきながら、
ロッジへと帰る。
外はもう暗い。

ロッジの食堂に入ると、
ネパリガイド達が薪ストーブを囲んで話し込んでいる。
僕たちに気づくと、
席を開けてココに座れと言ってくれた。
ネパリ達に囲まれ暖かいストーブの前で休む。
目をつむり、ネパリたちの談笑を聞きながら眠ってしまう。

食事の準備ができたと、テジーに起される。
食事は、

◎シェルパヌードル(どんなものかは忘れてしまった)
◎モモ(チベット風餃子)
◎リンゴ(憔悴しきっている僕を気遣ってテジーが用意してくれたのか!?)
◎TEA(高山病には水分を沢山とるのが良いとされているので、たくさん飲む)

食堂はトレッカーであふれかえっている。
タンボチェにはロッジが4つしかないから、
どのロッジでもこのような状態なのだろう。

食事をすませ、早々に部屋に戻る。
しんどい体にむち打って、
洗顔、歯磨きをすませる。
そして寝袋に潜り込んだ。

が、高山病の恐ろしさは、ここからが本番だった・・・・・・・


トレッキング4日目(その4)につづく ←最後です(汗)

※写真がなくてすみません。ほんとに余裕がなかったんです。ごめんなさい。
by tkdyz | 2010-01-22 02:23 | 2009/ネパール旅
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